昔のもの
返せよ、なあ。
錆び付いた劣等感と歳末の漁り尽くされて寒空のワゴンセールの片隅に追いやられた虚栄心で出来た私の骨髄を。そんなもん使えやしねえだろ。
返してくれよ。
吐瀉物の味がする漢方薬をカルキ臭い水で流し込むしか出来ない片腕を、掻き集めの自尊心を磨いた挙げ句壊してしまったあの日の幻を。
殺して、生きて、その繰返しをリピートさせて花屋の店先で客を引く女の子が気狂いの娼婦に花束を投げつけられて死んでしまったことが、14をむかえたばかりの私にはとても印象的だったことをふと思い出す。
予定は未定ですっからかんのからっけつでして今日も無間の中。
血も反吐もなんも吐く予定は無いけれど。
点と点はどうしたって線にはならないただの点のそれの集合体。
因果関係は幻想、どうせ全部望んでること。
いつだって逃げられる。その状況を保ってきた。
いつだって見物客でいたい。
「いつだって」それすら言い訳であると今更気が付いて、このどん詰まり。
幸福へいつだってひれ伏すしか出来ない奴隷。
絶望、憎しみ、悔しさ、その全てを内包する絶対的な概念=「幸福」
かなしいのは、きっとそのせいなんだろうか。
沈黙を売る詩人、ロストワンはスケープゴート、虐殺の季節、切れかけたフィラメント、相変わらず胃が痛い
あそびをもってこたえましょう、只の言葉遊びなんだから。
晴れ日の下で傘をさしている。そんな気がする。夕景の奥に誰かを見た、それはきっと夢。
('12/11/16 手書きの雑記より)